映画「世界に一つのプレイブック」は2012年11月21日にアメリカ合衆国で一般公開された映画で、ロバート・デニーロ、ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンスなどの演技が光る映画作品です。
誰をとっても主役級の俳優さんなので、デニーロ目線、クーパー目線、ローレンス目線から観ても楽しいかもしれません。
そんないろんな角度から楽しめる映画「世界に一つのプレイブック」の個人的な感想や考察について書いていきたいと思います。
目次
映画「世界に一つのプレイブック」 あらすじと冒頭
〈あらすじ〉
パットは妻の浮気により人生が崩壊し、心に深い傷を負ったティファニーと運命的に出会います。二人はダンスコンテストへの参加をきっかけに、それぞれの過去を乗り越え、新たな人生の意味を見出します。ダンスをしながら互いに支え合い、やがて真実の愛を育むようになります。
元妻のニッキーについて
妻のニッキーが浮気相手とアレをしてシャワーを浴びている、それを目のあたりにする夫のパット、しかもBGMには二人が結婚式に流していた曲が流れている。
これはかなりショックですよね…
主人公のパットはそこで浮気相手となる男に手を出してしまい、ある理由から入院を命じられ、さらに裁判所から妻ニッキーへの接近禁止を言い渡されています。
浮気相手に手を出してしまったことはいけませんが、BGMに二人の結婚式に流していた曲を聴いている妻のほうがかなりヤバい気がしますよね。
パットはそのときのショックで塞ぎ込んでしまいますし、とくか散々なことが起こったあとの状況からこの映画は始まります。
映画の雰囲気や演出でそうは見えませんが、内容的には結構暗い話なんじゃないか?と最初は思っていました。
映画「世界に一つのプレイブック」 ジェニファーローレンスの演技力に対しての感想
タフな女、ティファニー
パットの父親パトリツィオは友人とよく勝ち負けのゲームをしていて、信仰やジンクスに関して独自の見解を持っています。
ダンスの約束をすっぽかされたティファニーは、ゲームに負けて大波乱真っ只中のパット家にとつぜん乗り込みます。
パトリツィオは「その女と会うからおかしくなるんだ」といい、一連のゲームの運のなさをティファニーのせいだと言い出します。
「誰かニューヨーク州のモットーを知ってる?」
ティファニーはパトリツィオの発言に対して言い返すのですが、決定的な一言に「誰かNYの標語がなんだか知ってる?”より高く”よ」と言い放ちます。
これは、主人公のパットが自分自身を勇気づける言葉として常に意識している「Excelsior!(より高く!)」という言葉を見越して言ったセリフなんです。
パットやその家族と友人たちを含めて、これがニューヨーク州の標語だとは知らなかったらしく、その場にいた全員が感銘を受けている様子でした。
瓶を煽りながら「調べたの」というティファニーが、パットのことを真剣に考えていることがよく分かるシーンでもあります。
ここでのシーンは、素直に話す姿勢で知られるジェニファーローレンスの真実味あふれる演技がめちゃくちゃ光った場面だと思います。
映画「世界に一つのプレイブック」 実はかなり大事なシーンを考察
カメラワーク
見事ダンスで5.0ポイントを獲得し、パット家とその仲間たちは歓喜大絶叫。
照明の色が変わって会場は電球色のオレンジっぽい暖かい雰囲気になり、喜びで抱き合うパットとティファニーが映って、そのまま終わってハッピーエンドか…
と思いきや、ティファニーと抱き合っているパットの視線の先には元妻のニッキーがいて、パットはディファニーとの抱擁を振りほどいてニッキーのもとに歩いていきます。
このときのティファニーの表情を映している背景に、パットの父親であるパトリツィオが映されていて、あえてパトリツィオにピントを合わせないんですよね…しかもここ、ワンカットなんです。
抱擁を振りほどくパット→置き去りにされたティファニー→それを案ずるパトリツィオ、というようにワンカットでこの三人が順番にフォーカスされています。
父親のパトリツィオはティファニーの表情アップからスライドして映り、そのままピントが合わないまま次のカットへ移動します。
数秒間の短いシーンにいろんなものが集約されていて、映画の内容はもちろん、その巧みな技術面にも感動しました。
パットと元妻ニッキー
そのあとも同じように父親パトリツィオがピントが合っていないまま何度か映り込み、ティファニーがダンス会場から出ていこうと歩き出したあたりで、やっとはっきりとパトリツィオの顔と表情が映ります。
この短いシーンがパトリツィオ(ロバート・デニーロ)の一番の見せ場に繋がってくるのですが、個人的にはこの映画の中で一番好きなシーンです。
元妻ニッキーのもとに歩いていくパットに対して、いや、もうちょっと気を使った方が…とツッコミたくなるシーンでもありますが、パットがニッキーに耳元で何かを囁くところは会話が聞き取れません。
なんて言っているのかはわかりませんが、パットがニッキーに対してお別れと感謝を伝えているようにも見えます。
抱擁を振りほどいたパットを目で追っていたティファニーは、やっぱり自分は元妻ニッキーと寄りを戻すために利用されたんだと思い、ダンス会場から出ていくのでした。
映画「世界に一つのプレイブック」 ラスト、人生のサイン
デニーロは外さない
ティファニーが姿を消していることに気づいたパットは、父親のパトリツィオに彼女の行方を聞きます。
パトリツィオはティファニーがダンス会場から出ていくところを見ていて、息子のパットがティファニーのことを自分に聞いてくるのを待っていました。
この時の父親パトリツィオが息子パットに対して「サイン」を見逃すなと諭すシーンが、めちゃくちゃいいんです。
「親父の説教はイヤだろうが、彼女のサインに気づけよ。運命が手を差し出してる。その手をつかまないと一生後悔することになるぞ。今こそ壁を乗り越えるときだ。あの子の愛は本物だよ、今のニッキーに愛はない。チャンスを逃すな。」
ロバート・デニーロ最高ですね、このシーンだけ観ても感動してしまいます。
サインが読めたら「”より高く”」を目指す…幸運を自ら引き寄せる。
本人たちの行動によってめぐってくる、幸運を引き寄せる「サイン」がこの映画のポイントだと思います。
まとめ
映画「世界に一つのプレイブック」の感想と考察|これを観て幸運のサインを引き寄せる、について書かせていただきました。
ちなみにパットが入院中に親しくなったアフリカ系男性の友人のダニー役を演じているのがクリス・タッカーで、なんとクリス・タッカーはラッシュアワーシリーズ以降は映画に出演しておらず、ラッシュアワー3以降6年ぶりの映画出演が本作「世界に一つのプレイブック」だったようです。
映画出演には他にも色々な理由があるかもしれませんがそれにしても、この映画で久々にクリス・タッカーが観られたことも非常にうれしく思いました。
この映画「世界に一つのプレイブック」はとても素晴らしい作品ですので、ぜひ視聴することをおすすめします。
ご覧いただきましてありがとうございました。