映画「クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅」は2019年6月21日にインドで公開された、冒険コメディ映画です。
主人公のアジャ役はダヌシュというインドの俳優で、2022年7月22日にネットフリックスで公開された「グレイマン」では、本格的なアクションもこなしています。
この記事では映画「クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅」の個人的な感想や考察について書いていきたいと思います。
目次
映画「クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅」 あらすじ
〈あらすじ〉
ある貧乏な家庭で育ち、ほぼ無一文のアジャ。彼はお札一枚を手に、夢見たパリのインテリアショップへと辿り着く。ひょんなことから、身を隠したクローゼットがトラックで運び出され、アジャは思いがけない冒険へと飛び出す…
「運」にまつわる物語
語りからスタートする冒頭の一説に「与えられた手札で勝負するしかない」「運の物語」という言葉が出てきます。
インド映画だけあって、この言葉にはインドにある制度の背景をさっそく感じました。
物語の大筋は主人公アジャの語りで進められていき、アジャの少年時代から彼の「運の物語」がスタートします。
少年時代のアジャ役がとてもかわいい男の子で、小さな顔に大きな目をしていてまるでキャラクターのような容姿です。
男の人を見るたびに「ママ、あの人がパパ?」と母親に聞きまくるところはすごくかわいいです。
成功の秘訣
ある日、家具のカタログを見て心を奪われたアジャは四六時中そのことばかり考え、母と街に出てもお店の店頭を見て自分が心を奪われた家具のカタログ風に、自分自身が手掛けた家具のイメージを膨らませます。
実際にこのようなイメージを膨らませることは、成功するにはとても必要なことなんじゃないかと、非常に勉強になりました。
この辺りまでアジャは本当に素敵な主人公で、なんとしても成功してほしいと願ってしまいます。
映画「クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅」 アジャの成長期の感想
淡々と進む
アジャは子供ながらに貧乏なこと、貧乏でいたくないことに気づき、自分にはたくさんのお金が必要だと悟ります。
そしてある日、町で芸を披露している大道芸人をみて「これだ!」と思い、友人と衣装を拝借して同じように大道芸をして稼ぐようになります。
このあたりのシーンはかなりスピーディーに進み、気づいたら大人になっているといった感じで、音楽とともに軽快に物語が進行していきます。
大人になったアジャ
大人になるまで何年も大道芸をやっていたアジャは、ことあるごとに警察に追われるような生活を送っています。
大道芸だけでは生活費はまかなえず、観光客のスマホを拝借したりして、なんとかその場をやりくりしているようでした。
そんな生活を送りながらも、アジャは夢をあきらめず、希望を捨てることなくたくましく生きていきていて、映画を観ているこちらまでも元気づけられます。
あんなに可愛かったアジャがたくましく生きていく姿に、いつのまにか応援してしまいます。
そしてこの映画はまだまだこれから面白くなっていくので、これまで以上にこの映画を集中して観ることをおすすめします。
映画「クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅」 ヒロインに出会うまでの考察
アジャの父とモヒニ
アジャは母親をパリに連れていくと言い続けていたのですが、母親は亡くなってしまいます。
その後にアジャが母親の残したものを見ていると「父はパリから来たフランス人…」という衝撃の事実が明かされます。
フランス人である父からの手紙に「両親に結婚を許されたらパリのエッフェル塔に来てくれ…」と書かれていて、アジャがフランスに行くきっかけをつくります。
父がパリにいることが分かった主人公のアジャはフランスへ旅立つのですが、買っていた牛のモヒニの首輪を外して「自由になれ」的なことを言ってモヒニを自由の身にしてあげます。
この牛のモヒニとアジャの自由がリンクして、これからの物語をわくわくと楽しみにさせてくれます。
フランスでヒロインに出会うまで
そのあと空港に向かっている描写で「荷物は母の〇〇とパスポートと100ユーロの偽札だけ…」と語りがあったので、どうにかしてお金を手に入れるのかな?と思っていたら、いつのまにかフランスへ到着しています。
このスピーディなシークエンスは個人的には全然ありな展開で、ここから先のメインディッシュの為にまだエネルギーは温存しておいてくれという製作者側の意図を感じました。
フランスに降り立ち空港でタクシーを待っていると、男が話しかけてきて、アジャはその男のタクシーに乗ります。
その男はアジャをカモにしているだけなのですが、タクシーの料金を変更するために「観光客用」と書かれたスイッチを入れます。
アジャはそれを見て得意げに「その時、彼が僕を騙しているのが分かった」と語るのですが、その運転手が悪い人のように描かれていないところもいいと思いました。
映画「クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅」 「特殊な磁場」は名言
マリーとの出会い
アジャは夢にまで見たフランスの家具屋さんに到着し、カタログで見ていた家具を堪能して楽しんでいると、目の前に運命の女性マリーが現れます。
ルームセットの中を見ているマリーに突然、アジャは特殊な口説き方をするのですが、この時のマリーの反応がリアルすぎてすごくいいです。
そりゃそうなるよね…それ以外のリアクションはありえない感じです。
アジャは家具屋のルームセットの雰囲気を上手く使って、自分とマリーが結婚したことを想像させるような、旦那と妻の設定でマリーに話しかけてきたのです。
アジャはめげずに、次のルームセットでもマリーに話しかけ、その次も同じく芝居じみた口調で、旦那と妻の設定でマリー話しかけます。
ここでやっとマリーがその即興の旦那と妻の設定のノリに付き合ってくれて、あくまで旦那役と妻役としていろんなシチュエーションを二人で楽しみます。
「特殊な磁場のせい」は名言
いくら何でもマリーのノリが良すぎじゃないか…?と思ったとき、いいタイミングで語りが入ります。
「パリだけが持つ特殊な磁場のせいで、マリーと僕は意気投合」
子供たちに自分の物語を語っているアジャはこの「特殊な磁場のせいで、パリの恋は10倍燃え上がる」という言葉を口にするのですが、この言葉を聞いて名言だと思いました。
この一言が入ると、二人の出会いや突拍子もなく意外な展開もすべてうまく収まる感じがしますし、特に「パリだけが持つ特殊な磁場」という言葉はかなりのパワーワードだと感じました。
この言葉を知ることができただけでも、この映画を観る価値はあったかもしれないと言えるほどに。
まとめ
映画「クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅」の冒頭20分の感想と考察、について書かせていただきました。
楽しく見られる映画ですし、コメディと思って観ていたのに意外と名言や考えさせられるところが結構あって、ただの冒険譚ではなく自己発見と人生の無限の可能性についての物語ともいえます。
冒頭20分ぐらいまでを語らせていただきましたが、この映画は後半に行くにつれてどんどん面白くなっていきますので、気になる方は是非、映画「クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅」を観てみてください。
ご覧いただきましてありがとうございました。