感想

名作映画「パリ、テキサス」の感想と考察そして、忘れられない名言

映画「パリ、テキサス」は1985年9月7日に公開された、ヴィム・ヴェンダース監督の西ドイツ・フランス合作映画です。

名優「ハリー・ディーン・スタントン」の代表作の一つでもあるこの映画は、映画好きをさらなる映画好きに目覚めさせてくれるロード・ムービー、そして愛の物語です。

そんな目覚めを体験させてくれる映画「パリ、テキサス」の個人的な感想や考察について書いていきたいと思います。

名作映画「パリ、テキサス」 あらすじ

〈あらすじ〉
ウォルト(ディーン・ストックウェル)は、4年間音信不通だった兄トラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)がテキサスの荒野で意識を失っているとの知らせを受ける。トラヴィスが逃げ出すのを防ぎつつ、ウォルトは彼を連れて、トラヴィスの息子と妻が待つカリフォルニアのロサンゼルスに向けてレンタカーを走らせる。

砂漠をさまよう男

映画「パリ、テキサス」は、ヴィム・ヴェンダース監督の傑作として広く認識されていて、家族というテーマを中心に、失われた時間、再会、そして別れの感情を繊細に描いています。

物語は、トラヴィスという男がテキサスの荒野をさまよい、最終的には息子と再会し、かつて愛した女性との関係に決着をつけるまでを追います。

映画の冒頭は、トラヴィスが砂漠を歩いているシーンから始まるのですが、彼の姿はふらふらと意識がもうろうとしているような感じで、孤独と迷いを象徴しているような印象を受けます。

4年ぶりに弟のウォルトと再会してもトラヴィスの様子変わらず、自分の過去の何かと戦っているような描写です。

名作映画「パリ、テキサス」 感想は一言、映像と音楽が美しい

ライ・クーダーの音楽

映画のビジュアルは、ライ・クーダーの音楽と融合してアメリカの広大な風景を美しく捉えています。

砂漠のシーンや都市の風景、そして家族の日常は、それぞれがトラヴィスの心理状態を反映しているかのようです。

映画の色彩は、トラヴィスの感情の移り変わりを表現するために、鮮やかな色から暗い色へと変化したりと、観ているうちにいつの間にかこの映画の世界に入り込んでしまいます。

映像が目に焼き付いている

映画を観終わった後にも、なぜか色彩の感覚だけは頭に残っていて、冒頭でトラヴィスが砂漠をさまよっているシーン、トラヴィスとジェーンが再開するシーン、ジェーンと息子のハンターの再会をトラヴィスが見守るシーンは特に、それだけ印象深い映像だったんだと感じました。

そういった美しいシーンのひとつひとつに差し込まれる音楽が繊細な心の変化を表現しているように感じられ、映像や音楽にこだわりや情熱を持って作られたことがわかり、深く感動させられました。

名作映画「パリ、テキサス」 息子との関係を考察

説明はいらない

トラヴィスと息子ハンター(ハンター・カーソン)の関係は、映画の中で印象深い部分の一つです。

ハンターは、トラヴィスが長い間失踪していた間に大きく成長していて、幼いころに父親トラヴィスから離れていたので再会したというよりは初めて出会ったかのような感覚のようでした。

お互いの事をほとんど何も知らないので、トラヴィスが息子であるハンターとの関係を築くことは簡単ではないと思いますが、初めの方から二人の空気感というか、雰囲気が似ているところがあります。

息子のハンターが登場したときに「これが息子か」と腑に落ちる感じがありましたが、これはあえて演出したことなのか、それとも偶然似ているのかはわかりません。

ハンターを演じるハンター

そんな似ている二人の間には、初めは父親と息子というより、なんとなく友達に近いような感じに見えますが、徐々に親子の絆が形成されていきます。

この父親と息子の関係は、映画全体の感情的な核となっている部分のい一つでもあると思います。

ちなにみに息子のハンター役の子の名前はハンター(ハンター・カーソン)で、役名と名前が同じことも、これも偶然なのでしょうか…

名作映画「パリ、テキサス」 ラストの名言

どこを切り取ってもカッコイイ画

ジェーン(ナスターシャ・キンスキー)との再会シーンは映画のクライマックスで、映像といいシチュエーションといい、とても印象深い描写がたくさんあります。

どこを切り取ってもポスターにできるような絵画のような画の中がとても印象的です。

トラヴィスとジェーンは再会を果たし、トラヴィスはジェーンとの間にある未解決の問題に直面し、彼女との関係を再構築しようと試みます。

トラヴィスが自分の過去をジェーンに語り始める時は、ジェーンはまだ目の前にいるマジックミラー越しの男が旦那のトラヴィスということには気づいていなくて、電話の受話器越しに会話をしながら少しずつそれが誰なのかが分かってきます。

「青い炎」

この時、自分のことを語るトラヴィスが「青い炎」という表現を使うのですが、これがとても秀逸で、その青い炎はトラヴィスが砂漠へ放浪をしたきっかけにもなっていました。

この映画「パリ、テキサス」は、家族の絆や、愛、そして赦しについての深い感情や洞察を提供しているように感じます。

物語の終わりには、トラヴィスが自分の役割を果たして息子とジェーンを再び結びつけることで、彼自身の解決を見つけます。

トラヴィスもこの家族の一員ですが、母と子の仲にに入るようなことはせず、それを見守っていくことを決意しました。

まとめ

名作映画「パリ、テキサス」の感想と考察そして、忘れられない名言、について書かせていただきました。

この映画は自分自身が年齢を重ねていくにつれて共感できる部分がまた新たに発見できるので、何度も観たくなる映画です。

興味のある方は是非、映画「パリ、テキサス」を観てみてください。

ご覧いただきましてありがとうございました。

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