感想

アニャ テイラー=ジョイの映画「エマ」の感想と考察について、必要以上の熱度で語る

今回ご紹介するのは2020年公開の映画 「EMMA エマ」 アニャ・テイラー=ジョイ主演のもので、エマシリーズの中では最新版です。(現在2024年時点)

1996年版も観ましたが、どちらも面白い作品ですので両方見ることをおすすめします。

では、アニャ・テイラー=ジョイの「エマ」について語っていきたいと思います。

映画「エマ」 あらすじ、冒頭

〈あらすじ〉
エマ・ウッドハウスは美人で頭がよく お金持ち

もうすぐ21歳になるが
人生の苦しみや悲しみをほとんど知らずに生きてきた

冒頭で、絶対面白い映画だとわかる

はじめは軽快なオペラ音楽が流れ始め、これからどんな物語になるのかワクワク感をそそられます。
主人公のエマを見て最初に思ったことは なんて綺麗な人なんだ です。

エマが温室から花を摘んだ後に向こうの廊下からこっちに歩いてくるところで、『EMMA』とタイトルが出ます。

これがまた、高級ブランドのCMみたいで、色使いや建物の配置がとてもにおしゃれです。

この時点で この監督はとことん映像にこだわってくれる と期待半分と確信半分を抱きました。

エマの父であるヘンリーの友人、ナイトリーは昔からの付き合いがあり、エマに意見できる唯一の人物。

彼女に意地悪なことを言ってはいるが、愛を持って愉しみながらやっているように見えます。

映画「エマ」 エマの心が動いたときの感想

エマの繊細な心情表現

フランク・チャーチルの登場や、エルトンからの急な告白に戸惑うシーンなど多々ありますが、やはりエマの心が動きだしたシーンは、ベイツ婦人の姪ジェイン(ジェーン)とナイトリーの噂を聞いたところからだと思います。

取り繕いながらも動揺が隠せていないエマの表情が映ったまま、噂の二人が奏でる音楽が流れはじめます。

この音とエマの揺れ動く心情がリンクしていて、ゆっくりとエマの心が変化していく…その様をみて「キターッ」ってなりました。

ここまで見てきた人は、「やっぱりそうでないと」と思うはずです。

この映画のストーリーを知らずに見たからこそ思うことですが、この作品の原作者は観る人(物語を読む人)の潜在的意識に訴えかける物語を作るのがとても上手いんだなと思いました。

もちろん原作者だけでなく、この映画の監督もいうまでもありません。

みんな、まんまとそれを願っている

表面的には気づいてないけれど、なんとなく「エマとナイトリーが結ばれるんじゃ?」「そうなってほしいかもしれない」という気持ちに、いつのまにかさせられていました。

この作品を観ている人は心のどこかで「どうかそうなってほしい」という願いを抱かされます。

その一番突いて欲しいところ、それを的確にとらえています。

つまりエマとナイトリーに結ばれて欲しいという願いが生まれ、それが叶うかもしれない、という希望の予感が漂ってくる瞬間がこのシーンなのです。

だからこそエマの心が動いたときに「キターッ」ってなるのです。

映画「エマ」 階級交える舞踏会での名言

誠の紳士、ナイトリー

舞踏会で、エマとナイトリーがお互いの気持ちに気づくシーン。

もともとはハリエットとエルトンをくっつけようとしていたエマですが、この計画は失敗し、ハリエットとエルトンは逆に気まずくなってしまったのです。(エルトンはエマが好きでした)

エルトンにダンスの相手を断られたハリエットが涙を流した瞬間、遠くから見ていたナイトリーが手を差し伸べます。

このときにまた、にくたらしいほど完璧な音が流れます。

映画の中で最も好きなセリフ

ダンスの最中にそれを見ていたエマは「やるじゃん」的な笑みを浮かべ、その後ナイトリーにお礼と謝罪をします。

ハリエットとエルトンをくっつけようとしていたエマですが、それが間違いだったと認め「わたしが間違っていたわ」とナイトリーに伝えます。

その時のナイトリーのセリフはこうです

「彼が選んだ女性より、君が選んだ女性の方が上だ」

「ハリエットにはエルトン夫人にはない、素晴らしい性質がある」

…かっこいい(詳細は映画を観てね)これぞ、誠の紳士ではないでしょうか。

このあとにある二人のダンスのシーンは、誰もがみんないいというはずなので、あえて伏せるとします。

映画「エマ」 考察、あの発言はアニャ テイラー=ジョイにとって試練だった

アニャ テイラー=ジョイの生い立ちとリンクする

みんなで外でお茶会をしているときに、エマがミス・ベイツに言ったある一言でその場の空気が一変します。

ミス・ベイツはその発言で傷つき、その場から立ち去ってしまいます。

このシーンでエマ役のアニャ・テイラー=ジョイは、ミス・ベイツの表情を見て、自身の過去を思い出してとても心を痛めたそうです。

エマはその後ナイトリーに怒られて号泣し、自らの高慢さを反省して、後日ミス・ベイツを訪ねます。

ミス・ベイツに謝罪するシーンはこれまでにない緊張と不安を感じさせる暗さがあり、

窓からぼんやりと差し込んでいる光は、彼女たちの心情を表現しているようにみえます。

「お昼なのに、この家暗すぎないか?」と突っ込みたくなりますが、ここは暗くていいんです。

そう思うと、映像と音楽は運命共同体で、そこに物語とは関係のない違和感があるものを入れてしまっては、世界観が台無しになってしまいかねません。

映画「エマ」 グヴィネス版とも小説とも一味違う

全てはこの時のためだったのか…

ハリエットとエルトンをくっつけることに失敗したエマは、その後は恋のキューピットどころではなくなっていたのですが、そんな折、ハリエットがナイトリーに好意を抱いていることを知らされます。

エマ、めっちゃ困ります。

そして、呆然としながら外を歩いているとナイトリーから声をかけられます。

エマはフランク・チャーチルのことが好きだと思っていたナイトリーは「1つの点で、僕は彼がうらやましい」と言い、ついにはそのまま勢いで求婚してしまいます。

セリフの自然な流れとテンポ、音のチョイスとタイミングが絶妙で、この瞬間のためにこの物語があったのかと思うほどです。

感動的な滑稽さ

エマはハリエットのことや、急なナイトリーからの愛の告白で頭がいっぱいになり葛藤し、懸命に考えます、そして誠の紳士ナイトリーの最終奥義「結婚してほしい」の一言で、

鼻から愛があふれてきちゃいます。

この映画の原作小説はまだ読んでいませんが、グヴィネス版ではこのようなシーンは無かったので、たぶんアニャ テイラー=ジョイ版「エマ」のオリジナル展開だと思います。

このシーンは観ているこちらもすごく感情が高ぶるのですが、がなぜか笑ってしまいます。

この物語で一番大事であろう場面で、感動ではなく滑稽さを演出したこの映画は、本当にすごい。

まとめ

アニャ・テイラー=ジョイの「エマ」について必要以上の熱度で語ってみました。

この作品でアニャ・テイラー=ジョイを初めて見て、最初は美人過ぎて戸惑いましたが、「エマ」を鑑賞し終わったあとは大好きになりました。

この映画「エマ」という作品を観た後はしばらく余韻が残り、「エマ」ロス状態が続きました…何か魔力のようなものがあるのかもしれません。

ご覧いただきましてありがとうございました。

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