2016年2月5日に公開された「オデッセイ」は、DVDを購入して家に保管しておきたい映画のひとつです。
この映画に出てくるのはほとんど主人公ひとりで、彼が火星で生き抜く様をじっくりと見ることになるのですが、それを最後まで飽きることなく観続けられます。
一人に焦点を当てて、観客を映画一本分画面に集中させることができるのはすごいことだと思います。
今回はそんなスゴイ映画「オデッセイ」についての感想や考察を書いていきたいと思います。
目次
映画「オデッセイ」 あらすじ…火星に独り取り残される
〈あらすじ〉
火星探査中の嵐での事故で仲間に誤認され、火星にひとり取り残された宇宙飛行士マーク・ワトニー。彼は科学を駆使して火星でのサバイバルを開始する…
ついてないマーク・ワトニー
例えばそこには友達や親友と呼べる人がいない、近くにも遠くにも恋人がいない、連絡を取れる家族もいない、そして仕事のない日には一人で部屋にこもって黙々と暇をつぶしている。
これを孤独といっていいのかはわからないですが、おそらく寂しいという感情に取りつかれないように懸命になるのではないでしょうか。
何かしていないと気が狂いそうになるので、とにかく誰でもいいのに人と会って一緒に食事をしていても、一瞬は寂しさを忘れるけどまた虚無感に苛まれる。
これでやっと孤独の鱗片ぐらいは感じたことがあるぞと言えると思ったのですが、Martianであるマーク・ワトニーの前ではそんなことを言えるはずもない。
火星での探査任務中に大砂嵐に襲われ、独り火星に取り残されてしまった主人公のマーク・ワトニー。
マーク・ワトニーのその悲劇はわりと映画の冒頭あたりで起こりその時からもう既に、これからMartianになるマーク・ワトニーの気持ちを考えてしまっていた。
開始数分で、これから何を見せられるのかが楽しみで仕方がなくなったのです。
そして、火星ではほんの些細なことが大惨事になるという危機感も同時に抱かれます。
映画「オデッセイ」 じゃがいものシーンの感想
危機感と笑い
やっとの思いで基地に戻マーク・ワトニーは、傷口からアンテナの破片を取り除くこうとします。
マーク・ワトニーがホッチキスをとめる際のマット・デイモンの演技は、痛がり方がとてもリアルで、こっちまで顔が引きつってしまいました。
ひと段落してマーク・ワトニーはこの災難の初日から映像記録を撮影します。
ここは宇宙飛行士なら当然のことで、マーク・ワトニーが個人的に日記を残したいとかではなくて、今後のためにNASAに記録を残すといったスタンスだと思います。
そのあと、ジャガイモの栽培に必要不可欠となる水を生成する際に、ミスをして吹っ飛んでしまいます。
つぎのシーンで彼の身体からケムリが出ている、そこでの「ああ、吹っ飛んださ」というコミカルな発言で少し笑ってしまいました。
この悲壮感と滑稽さが融合して、彼のチャーミングさが際立っている感じがします。
物語を見ていてクスっと笑ってしまう部分もあるのですが、彼は至ってまじめに取り組んでいます。
映画「オデッセイ」 ひとりではどうにもならない
つらいシーン
ジャガイモを吹っ飛ばした後に改良を凝らして、ついにジャガイモ栽培に成功したマーク・ワトニーでしたが、外の探索から帰ってきたときにまたケアレスミスをしてしまいます。
これまで育ててきたジャガイモの大半が全滅し、たくさんあった食料の糧が大幅に減ってしまうのです。
氷点下の機体のなかでその日の夜を過ごすマーク・ワトニーは取り返しのつかない自身の失敗に怒りがピークになり、疲労と孤独の境地に達しかけます。
このシーン以降は割とシリアスな雰囲気となり、「もう地球には戻れないかもしれない」といったマーク・ワトニーの心境が感じられ、映画の中でも最もつらいシーンかもしれません。
NASAの人たちも総出でマーク・ワトニーを何とかして助けようとみんなでアイデアを募りますが、なかなかいい案が出ませんでした。
マット・デイモンとクリステン・ウィグ
ちなみにNASAの広報責任者であるアニー・モントローズという女性がいるのですが、この役を演じているのがクリステン・ウィグ。
クリステン・ウィグは映画「ダウンサイズ」で主人公を演じるマット・デイモンの奥さん役で登場します。
実はこの「オデッセイ」ですでに共演していたんですね。
映画「オデッセイ」 ラストについての感想
どこにいてもどんな状況でも楽しむ
火星の中でひとりぼっちで生きるといったシンプルなシナリオですが、一歩間違えば大変なことになるという水面下のハラハラ感と、主人公マーク・ワトニーの楽観的かつポジティブな姿勢が見ていて飽きません。
彼の稼いでの一人暮らしに目が離せず、映画の後半あたりからは手元にあったポップコーンを食べる暇もなかったです。
この窮地に追い込まれた状況で、生きることを楽しんでいる彼の姿がとても印象的で、人間はこういった状況に追い込まれても、ただただ深刻に時間を過ごすだけではないのかもしれないと思いました。
途中で彼が音楽を聴いてノリノリになっているシーンも、楽しむというところに無理な感じが出ていないし、気が変になっているわけでもない。
マーク・ワトニー、そして役を演じたマット・デイモンはそういう人なんじゃないかな?と、とても人間らしさを強く感じました。
ラストについて
個人的にはラストで、見事火星から生還したマーク・ワトニーに「質問は?」といわれて生徒たちが一斉に手を挙げるシーンは最高です。
生徒たちが一斉に手を挙げるシーン、そのままそこで暗転してパッと終わる、余韻を残しつつエンドロール、最高です。(2回目)
そして、その後のクルーたちの生活の一部も観ることができてうれしい気持ちになりました。
こんなに素敵な余韻に浸れる作品もそれほど多くはないと思います。
まとめ
映画「オデッセイ」の感想と考察|火星で一番ポジティブな男、について書かせていただきました。
実は映画を観る前はストーリーと出演者だけを見て「観よう」と思ったのですが、映画鑑賞後に確認したら監督はリドリー・スコット…「エイリアン」や「ブレードランナー」の監督なんですね。
この監督は一体どうやったらこんなにすごい映画が作れるのか、不思議でなりません…
ご覧いただきましてありがとうございました。