感想

映画「主人公は僕だった」の感想と考察|日常とファンタジーの絶妙なところをついてくる

2007年5月19日公開の映画「主人公は僕だった」は、コメディ映画常連のウィル・フェレルがまじめな役をしている珍しい映画です。

ウィル・フェレルだからこそ、この役柄が活きた作品だと思っていて、観ている人の心の中にスッと物語が入ってきます。

そんな不思議な映画「主人公は僕だった」について書いていきたいと思います。

映画「主人公は僕だった」 あらすじ

〈あらすじ〉
会計検査官ハロルドはある日、自分の人生をナレーションする声が聞きこえるようになり、それが小説の主人公であることを知る。ハロルドはその小説の作家カレン・アイフルと出会い、自分の物語を受け入れながらも新しい人生を模索する。

ウィル・フェレルの意外な役柄

この映画に惹かれてしまう点はいくつかあるのですが、やはり普段はコメディばかりに出ているウィル・フェレルまじめな役を演じているところがいいです。

この作品自体はレンタルショップなどではコメディとして割り振られていますが、個人的にはヒューマンストーリー寄りだと思います。(もちろん笑える要素もあります)

主人公であるハロルド・クリック(ウィル・フェレル)は素朴で切ない感じのするキャラクターで、規則正しく単調な生活を送っている、さえない会計検査官です。

そもそもウィル・フェレルがコメディアンであるという前提で鑑賞したのですが、その方が観ていて面白かったのでラッキーでしたし、彼がコメディアンでなければ作品の性質も変わっていたように思います。

なんというか、そのギャップがそのままこの映画にプラス作用をもたらしています。

映画「主人公は僕だった」 マギー・ギレンホールへの感想

マギー・ギレンホールの演技力

ヒロインのマギー・ギレンホールの演技力がとても素晴らしいです。

ヒロインのアナ・パスカル(マギー・ギレンホール)は菓子店の店主で、会計検査官である主人公ハロルド・クリックは税金を滞納している彼女の菓子店に訪れ帳簿調を行うのだが、アナ・パスカルはハロルド・クリックに対して最初は厳しい態度を見せ、つらくあたります。

この時点でアナ・パスカルに感じたことは、ただ怒って辛辣なことを言い放っている性格の悪い女性ではなくて、相手に厳しく言っていることを自分でも理解していて、自分自身も傷つきながらやっている。

そしてその中に彼女の優しさを垣間見ることができたのです。

マギー・ギレンホールの魅力

アナ・パスカルが登場してからわずかしか経っていないのに、この「怒る」というアクションの中にいくつもの複雑な感情を持ち合わせていることが観ていてわります。

これを感じたときに一気に、ヒロインであるアナ・パスカル、そしてそれを演じるマギー・ギレンホールのファンになってしまいました…とても魅力的な女性です。

顔だちだけではなく、彼女の内面から出る魅力が物語そして作品をさらに深いものにしていて、やはりこの役はマギー・ギレンホールでないと成立していません。

映画「主人公は僕だった」 考察、なにより脚本が面白い

意外となかったメタ的要素

そしてなにより脚本が面白いと思いました。

この映画「主人公は僕だった」が公開されたのは2007年ですが、こういったメタ的な要素を含んだ作品を、こんなに分かりやすく見せてくれる映画は他にはなかったのではないでしょうか。

この映画「主人公は僕だった」のタイトルと内容には、新しくて楽しい試みが見て取れたような感じがします。

もちろん脚本だけではなく出演する俳優陣の演技も素晴らしく、いい脚本と、いいキャスティングと、いい演出、この三拍子がそろった映画です。

この映画の監督であるマーク・フォースターは日常とファンタジーのちょうどいいところをついてくるのがとても秀逸で、映画「主人公は僕だった」を観ている人は日常から物語に入り込みそこからいつの間にか不思議な世界に連れていかれます。

映画「主人公は僕だった」 ラストは二択

物語をとるか、人間をとるか

ジュールズ・ヒルバート教授(ダスティン・ホフマン)の主人公ハロルド・クリックに対するセリフもひとつひとつよくて、

「どうやって生きるのではなくて、いかに意味のある〇〇かを伝える」と言うセリフは特に印象に残っています。

恐らくですが観ている人の中には、ジュールズ・ヒルバート教授に賛成派か、悲劇作家カレン・アイフル( エマ・トンプソン)賛成派に分かれるでしょう。

この二人に限らずですが、登場する人物の誰にでも共感することができる映画だと思うのでけっこう考えさせられます。

まとめ

映画「主人公は僕だった」の感想と考察|日常とファンタジーの絶妙なところをついてくる、について書かせていただきました。

この映画のマーク・フォースター監督は、2001年の名作映画「チョコレート」も監督していて、やっぱり実力と実績がある人だったのか…と腑に落ちました。

今回紹介した映画「主人公は僕だった」は、普段はあまり見ることのできないウィル・フェレルの役柄や、魅力的なマギーギレンホールの素晴らしい演技も見られる作品です。

個人的にもとてもおすすめな映画ですので、ぜひ視聴してみてください。

ご覧いただきましてありがとうございました。

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