感想

映画「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」の感想と考察|日常の名言に出会える

映画「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」は2014年9月5日に公開された映画で、ベテラン俳優のモーガン・フリーマンとベテラン女優のダイアン・キートンが初共演した作品としても知られています。

ながいキャリアを持つ二人ですが、今まで共演していなかったというのは意外です。

ここではそんなベテラン二人が共演する映画「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」について個人的な感想と考察を書いていきたいと思います。

映画「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」 あらすじと感想

〈あらすじ〉
アレックスとルース夫婦は、眺めがよく景色が素晴らしい部屋で40年間過ごしてきた。だが、アレックスの足腰が弱り、階段をあがるのが難しくなったことから、部屋を売ることを決意する。

老夫婦の、ある決断

長年ずっと連れ添ってきたカーヴァー夫妻(アレックス・カーヴァーとルース・カーヴァー)と愛犬ドロシーが住む眺めのいい部屋には、1つだけ試練がありました。

その眺めのいい部屋は5Fにあるというのにエレベーターがないのです。

夫のアレックス・カーヴァー(モーガン・フリーマン)は年をとって足腰が弱くなり、妻のルース・カーヴァー(ダイアン・キートン)と話し合った末、ついに長年連れ添った眺めのいい部屋を売りに出すことを決断します。

愛着

もし自分がこれから先、終生まで永くお世話になる家を選ぶ時が来たら、人生の最後といっていいくらい、これまで以上に無いくらい、悩んで考えると思います。

窓の数とか光の差しぐあいとか、近所に変な人が住んでいないかとか、ときどき牧場みたいな臭いが漂ってこないかとか、魔改造したバイクが通るルートになっていないかとか。

もともと建造物が好きなだけに、小さなことにこだわることが多く、部屋のドアが少しキーキーとなる程度のことでもずっと気になります。

しかし、そんなダメなところにも愛着がわいてくるとよほどのことがない限りは離れることが難しくなってくるように感じます。

映画「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」 喧嘩をするほど仲が良くなっていく

あわただしい日々

アパート5Fにあるふたりの長年連れ添った眺めのいい部屋を観に来る人たちは日に日に増えていきます。

そんな折、愛犬のドロシーもアレックスと同じように腰をやってしまい手術を余儀なくされ、なんと手術台は1万ドル以上。

眺めのいい部屋を売るにも、新しく引っ越し先の家を買う(借りる)にも、いろいろと出費が重なってしまいますし、ゆったりした時間を過ごしていたカーヴァー夫妻と愛犬のドロシーの生活はとてもせわしなくなります。

いろいろと落ち着かないし、これまでの日常から遠ざかっていくようで、カーヴァー夫妻はストレスを募らせていくのでした。

夫婦の歴史

このへんの夫婦げんか、痴話げんかはよくあるシーンなのですが、長年連れ添っている夫婦だからなのか、二人が言い合いを重ねていくにつれてむしろ仲が良くなっていくように感じるのが妙にリアルで好きです。

よくある映画の展開とは違って、ラブコメ胸キュン的なものに慣れている人たちには一見、物足りなく味気のないように思えるかもしれませんが、二人のやり取りを見ているとこれまでの長い夫婦生活の歴史を感じることができて深い共感を得ることができます。(そのような経験が無くとも)

永く連れ添った夫婦が怒鳴りあうことなんてそうそうない事だと思うので、このカーヴァー夫妻を実生活から見るととてもリアルに感じ、映画として見ると逆に新鮮に感じました。

そういった見方をさせられたこともあり、この平和な夫婦カーヴァー夫妻の会話は見ていてとても楽しかったです。

映画「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」 歴史を刻んだ夫婦の名言

モーガン・フリーマンとダイアン・キートン

夫のアレックスを演じるモーガン・フリーマンと妻のルースを演じるダイアン・キートンの二人の人柄なのか、この映画には終始、思いやりや愛情を感じます。

モーガン・フリーマンとダイアン・キートンのコンビだからこそこの映画の優しい雰囲気が成り立っているのかもしれません。

モーガン・フリーマンの優しい笑顔とダイアン・キートンの愛情深く見つめる表情だけでもそこそこの映画が出来上がりそうなのですが、こんな感じの仲の良い夫婦なら、どこに住んでも幸せなんだろうなと思います。

さらっと名言が出てくる

この作品には気づかないうちに名言がちらほら出てきます。

「我が家以上の眺めは、ない。だが、おそらく必要な眺めは、見尽くした。眺めとは、若い人が見るべきなのだろう」

「場所はどこでもいい、いい人生をあなたとふたりで」

この作品のキモは、いついかなる時も答えはにならっていて、肝心な決断をするときに合理的な選択だけが賢いわけではないんだと教えらます。

そしてカーヴァー夫妻はもう少し、眺めのいい部屋に住むらしい。

映画「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」 原題と原作を考察してみる

映画「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」の原題と原作について興味深い情報があったので、こちらも併せて書いていきたいと思います。

原題は「5 Flights Up(ファイブ・フライトアップ)」

「5 Flights Up」の「Flights」を辞書で調べると、

a continuous series of stairs from one landing or floor to another

(ある踊り場または階から別の踊り場までの連続した一連の階段)

階段の踊り場的なイメージですかね…

 

原作はジル・シメントの小説「Heroic Measures(ヒローイック・メジャーズ)」

「Heroic」は形容詞で「英雄」という意味ですが、別の意味で(程度の、大きな、大胆な措置)という意味もあり、

「Heroic Measures」は医療用語として、多くの場合、延命措置という意味合いで広く使われているようです。

医療用語としての「Heroic Measures」をもう少し詳しく言うと

「健康状態を更に悪化させる危険性を伴うが、それ以下の治療では間違いなく失敗に終わるような場合に、最終手段として講じられる治療法」

という意味を持つ言葉です。

映画原題と原作小説のタイトルは違いますが、核となる部分は同じように感じますね。

「5F」「大胆」「延命」はこの映画「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」に欠かせないキーワードになってます。

まとめ

映画「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」の感想と考察|日常の名言に出会える、について書かせていただきました。

この映画のエンドロールでブルックリンの街並みを空撮するのですが、映画を観終わった余韻もあって、とてつもなくブルックリンに住みたくなります。

少なくとも住むまではなくても行きたくはなるはず…ちなみにブルックリンあたりの家賃相場は一般的な一人暮らし用の部屋で30万円くらいらしいです。(たっかい!)

ご覧いただきましてありがとうございました。

-感想